日本のメディアがPerplexityを提訴。 AI時代に既存メディアはどう抗うのか

1分で読めます
日本のメディアがPerplexityを提訴。 AI時代に既存メディアはどう抗うのか

日本のメディアがPerplexityを提訴。 AI時代に既存メディアはどう抗うのか

どうも、Fujinです。

このラジオではゲーム業界や生成AIの最新トレンドなど、実際のテクノロジーをテーマにお届けしています。

さて、今回も早速始めていきたいと思いますが、いやはや、最近のAI界隈は本当に話題に事欠きませんね。技術の進化が目まぐるしいのはもちろんですが、それに伴って様々な問題も噴出してきています。特にここ最近、僕の目に飛び込んでくるニュースで多いのが、「訴訟」に関する話題です。

日本国内では、大手新聞社があの有名なAI検索エンジンを著作権侵害で提訴。かと思えば、アメリカではイーロン・マスク氏がAppleとOpenAIを相手に訴訟を起こすなど、なんだか世界中でバチバチにやりあっている感じがしますよね。

今回は、この日米で巻き起こっているAI関連の訴訟について、その背景や僕なりの考えを交えながら、じっくりと掘り下げていきたいと思います。一見すると全く別の問題に見えるかもしれませんが、実は根底には共通する「大きな時代の変化」が隠されているんじゃないかと、僕は感じています。

テクノロジーが社会を変える時、そこには必ず摩擦が生まれます。僕らは今、まさにその瞬間に立ち会っているのかもしれませんね。

新聞社がAIを提訴!日本で起きた「著作権」を巡る争い

まずは日本のニュースから見ていきましょう。

日本経済新聞社と朝日新聞社が、AI検索エンジンを提供しているアメリカのスタートアップ企業「Perplexity(パープレキシティ)」に対して、東京地方裁判所に訴訟を起こしたと発表しました。

彼らの主張を簡単にまとめると、「我々の記事を無断で収集・利用して、著作権を侵害している!」ということですね。具体的には、記事コンテンツの無断利用の差し止めと、それぞれ2,200万円の損害賠償を求めているとのことです。

新聞社側が問題視しているのは、主に3つのポイントです。

  • 記事の無断収集と複製 新聞社側は、AIが学習するためにコンテンツを無断で使うことを許可していません。それにもかかわらず、Perplexityがその制限を無視して記事を収集・複製している、と主張しています。
  • ハルシネーションによる信用の毀損 ご存知の通り、生成AIには「ハルシネーション」と呼ばれる、もっともらしい嘘をついてしまう現象があります。Perplexityが生成した回答に間違いがあった場合、その情報源として新聞社の名前が表示されることで、「この記事は間違っているんじゃないか」と、新聞社自体の信頼性まで損なわれかねない、という懸念です。これは確かに、情報を売る側からすればたまったものじゃないですよね。
  • 広告収入の減少 ユーザーがAI検索で答えを得てしまうと、わざわざ新聞社のウェブサイトを訪れる必要がなくなります。そうなると、サイトの閲覧数が減り、広告収入が減少してしまう。これも非常に切実な問題です。

これらの主張、どれも一理あるなとは思います。しかし、僕個人の意見を正直に言わせてもらうと、これは時代の大きな流れに対する「最後の抵抗」のようにも見えてしまうんですよね。

ぶっちゃけた話、ニュース記事やブログサイトのような、情報をまとめて伝えるという役割は、今後AIに代替されていく可能性が非常に高いと思っています。なぜなら、AIの方が圧倒的に便利だからです。

例えば、AIは各新聞社の記事を横断的に読み込み、バイアスの少ないニュートラルな視点で情報を要約してくれます。新聞社によっては、どうしても特定の立場からの意見に偏ることがありますが、AIを使えばより中立的な情報を得やすくなるわけです。

さらに言えば、AIはユーザー一人ひとりに合わせて情報を「パーソナライズ」してくれます。僕のようなテクノロジー好きには最新のガジェットニュースを重点的に、経済に関心がある人にはマーケットの動向を詳しく、といった具合に、興味に合わせて情報を最適化してくれる。わからない言葉があれば、その場で噛み砕いて説明してもらうことも可能です。

こうなってくると、わざわざ個別のニュースサイトを巡回する必要性は、どんどん薄れていってしまいますよね。

もちろん、一次情報を得るための取材活動や、深い洞察に基づいた質の高い記事には、今後も大きな価値があり続けるでしょう。しかし、単に情報を集めて整理するという部分においては、AIの得意分野です。この流れに抗うのは、なかなか難しいのではないでしょうか。

アメリカではもっと過激?イーロン・マスク vs OpenAI & Apple

さて、次は海を渡ってアメリカの話題です。こちらもまた、巨大なプレイヤー同士のぶつかり合いで非常に興味深いですよ。

テスラやX(旧Twitter)でおなじみのイーロン・マスク氏が、なんとAppleとOpenAIを提訴するという意向を表明しました。

ことの発端は、Appleが発表した新しいAI機能「Apple Intelligence」に、OpenAIのChatGPTが深く統合されると発表されたことです。マスク氏の主張は、「AppleがOSレベルでChatGPTを統合するなら、それは許容できない。」というものです。

彼の言い分は、AppleとOpenAIが手を組むことで市場を不当に囲い込み、X AI(マスク氏自身のAI企業)のような革新的な競争相手を妨げている、というものです。つまり、独占禁止法に触れるんじゃないか、ということですね。

ただ、この件に関しては、単なるビジネス上の対立というよりも、マスク氏とOpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏との間の、長年にわたる個人的な確執が色濃く反映されているように僕には見えます。

実は、OpenAIはもともと、マスク氏とアルトマン氏が共同で設立した非営利団体だったんです。しかし、その後の方向性を巡って意見が対立し、マスク氏は経営から手を引くことになりました。今ではOpenAIはマイクロソフトと強力なタッグを組み、マスク氏は対抗馬としてX AIを率いている、という構図です。

だから今回の提訴も、「俺が育てたOpenAIが、ライバルのAppleと組むなんて許せない!」という、マスク氏の個人的な感情がかなり入っているんじゃないかなと。OpenAI側も「今回の提訴は、マスク氏が続けている嫌がらせの一環に過ぎない」と強気に反論しており、まさに泥沼の様相を呈しています。

なんだか、会社の代表者同士が個人名でバチバチにやりあうあたり、いかにもアメリカっぽくて面白いなと感じてしまいますが(笑)。

なぜ今、訴訟が相次ぐのか?AIがもたらす変化の痛み

さて、ここまで日本とアメリカで起きた、全く異なるタイプのAI訴訟について見てきました。

  • 日本: 既存のメディア(新聞社)が、新しいテクノロジー(AI)に対して「著作権」を盾に防衛線を張っている。
  • アメリカ: 新しいテクノロジー(AI)の覇権を巡って、巨大企業同士が「独占」を理由に争っている。

構図は違えど、どちらも「AI」という巨大な技術革新が、既存の社会システムやビジネスモデルと激しい摩擦を起こしている、という点で共通しています。

僕は、こうした問題が次々と起こること自体が、AIという技術がいかに革命的で、社会に大きなインパクトを与えるものであるかの証明だと思うんです。

以前、ブロックチェーンゲームが盛り上がった時もそうでした。2022年頃、「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」という言葉が生まれ、多くのゲームがバブル的に盛り上がりました。しかしその裏では、トークンの価値が暴落して崩壊するゲームもたくさん出てきたんです。

どんなに素晴らしい技術でも、それが社会に浸透していく過程では、必ず混乱や問題が起こります。自動車が発明された当初は、馬車の御者たちが仕事を失い、多くの事故も起きました。インターネットが登場した時も、著作権やプライバシーの問題が山積みでしたよね。

AIも同じです。著作権はどうなるのか、仕事は奪われるのか、情報の信頼性は担保できるのか。考えなければならない課題はたくさんあります。しかし、そうした「変化の痛み」を乗り越えた先に、新しい社会の形が見えてくるはずです。

今回ご紹介した訴訟も、そうした痛みのひとつなのでしょう。既存の枠組みでは捉えきれない新しいものが生まれた時、社会がそれに対応するためのルールを模索している、まさにその過程を僕らは目の当たりにしているのだと思います。

正直なところ、これらの訴訟が今後どういう決着を見るのか、僕にも予想はつきません。ただ一つ言えるのは、この動きはもう誰にも止められないということです。僕たちは、この大きな変化の波にどう乗りこなし、新しい時代をどう生き抜いていくかを、真剣に考えなければならないフェーズに来ているのではないでしょうか。

今回は、AI界隈で起きている訴訟問題という、少し難しいテーマについてお話ししてきました。しかし、これは単なる企業間の争いではなく、僕たちの未来の働き方や情報の受け取り方にも直結する、非常に重要な問題です。

これからも、こうしたテクノロジーの進化がもたらす光と影の両面にしっかりと目を向けながら、皆さんにとって有益な情報をお届けしていきたいと思います。

ということで、今回はこの辺で終わりにします。また次回の放送でお会いしましょう。

じゃあね!