コインベースがAIを使わなかったエンジニアを解雇した話

1分で読めます
コインベースがAIを使わなかったエンジニアを解雇した話

コインベースがAIを使わなかったエンジニアを解雇した話

どうも、Fujinです。

いやぁ、どうでしたかね、皆さん、週末はゆっくり過ごせましたか?最近は夜になると結構涼しくなってきたなと感じる日もあれば、急に真夏日に逆戻りしたりと、気温の変化が激しいですよね。まだまだ夏は続きそうですが、体調管理にはくれぐれも気をつけてください。僕の周りでも、またコロナや夏風邪が流行り始めているみたいなので、皆さんも本当にご自愛くださいね。

さて、そんな少し気だるい夏の終わりに、ビジネス界隈、特にテクノロジー業界に激震が走るようなニュースが飛び込んできました。今回は、そのニュースをテーマにお話ししていきたいと思います。

そのニュースとは、「CoinbaseのCEOが、AIをすぐに試さなかったエンジニアを解雇した」というものです。

Coinbaseといえば、暗号資産取引所として、Web3業界では知らない人がいないほどの超有名企業ですよね。そんな大企業のトップが、AIツールを使わなかったという理由で従業員を解雇した。この事実は、僕たちに何を問いかけているのでしょうか?

「アメリカの話でしょ?」「エンジニアだけの特殊な話でしょ?」

そう思う方もいるかもしれません。でも、僕はこれは対岸の火事ではなく、そう遠くない未来に日本でも当たり前に起こりうることだと感じています。今回はこの衝撃的なニュースを深掘りしながら、これからのAI時代を僕たちがどう生き抜いていくべきか、一緒に考えていきたいと思います。

AIを使わないエンジニアは即解雇!Coinbaseで起きた衝撃の事実

まず、今回のニュースがどれだけインパクトのあることなのか、具体的な経緯を追っていきましょう。

今の時代、特にIT業界では、AIがコーディングを補助してくれる「AIコーディングアシスタント」の活用が急速に進んでいます。むしろ、そういったツールを使っていないプログラマーを見つけるほうが難しい、とまで言われるようになってきました。

そんな中、Coinbaseは全エンジニア分のライセンスとして、「GitHub Copilot」と「Cursor」という2つの主要なAIコーディングツールを会社として購入したそうです。会社が全社員のために高額なツールを導入する、というのはそれだけAI活用に本気であることの表れですよね。

ところが、導入後、一部のエンジニアはこれらのツールをなかなか試そうとしなかったようです。おそらく、社内からは「新しいツールの導入なんて、なかなか進まないよ」「半数のエンジニアが使い始めるまでに数ヶ月はかかるだろう」といった声も上がっていたと予想されます。日本の多くの企業でも見られる光景かもしれませんね。

しかし、CoinbaseのCEOであるブライアン・アームストロング氏の判断は、僕たちの想像をはるかに超えていました。

彼は、社内の主要なエンジニアが集まるSlackチャンネルに、強いメッセージを投稿したのです。その内容は、要約すると以下のようなものでした。

「AIは極めて重要だ。全エンジニアに、これらのツールを学び、オンボーディングしてもらう必要がある。毎日使う必要はないが、今週末までに必ずオンボーディングを完了させてほしい。もし週末になっても完了していない人がいれば、土曜日に直接会議を開き、なぜやらなかったのか、その理由を聞かせてもらう」

ものすごいトップダウンですよね。週末までに、という期限を切って、やらなければCEO自ら詰問する、とまで言っているわけです。これだけの強い姿勢を見せられると、さすがにやらないわけにはいかない、と感じるのが普通でしょう。

そして、約束の土曜日。

CEOは、それでもまだツールをオンボーディングしていなかった数名のエンジニアと会議を開きました。中には、旅行から帰ってきたばかりでメッセージを見ていなかった、など正当な理由があった人もいたそうです。しかし、そうではない人、つまり明確な理由なく行動しなかった人たちもいました。

その結果、彼らは即座に解雇されたのです。

この一連の流れ、皆さんはどう感じましたか?「やり方が強引すぎる」「パワハラじゃないか」と感じる人もいるかもしれません。実際に、CEO自身もこのアプローチが高圧的であったこと、そして社内にそれを快く思わない人たちがいたことも認めています。

それでも、彼はこの決断を下しました。それはなぜなのか。次のセクションで、その背景にあるCEOの狙いや、テクノロジー業界の厳しい現実について考察していきたいと思います。

なぜCEOは強硬手段に踏み切ったのか?

CoinbaseのCEOが、なぜここまで強引とも言える手段を取ってまで、AIツールの全社導入を急いだのでしょうか。その背景には、現代のテクノロジー業界を象徴する、いくつかの重要な理由が隠されていると僕は考えています。

一つ目は、圧倒的なスピード感の重要性です。

Web3やAIといった最先端の分野では、技術の進化スピードが異常なまでに速い。昨日までの常識が、今日にはもう古いものになっている、なんてことは日常茶飯事です。半年、いや3ヶ月何もしなければ、あっという間に競合に追い抜かれ、市場から取り残されてしまいます。

そんな熾烈な競争環境の中で、「新しいツールの導入には数ヶ月かかります」なんていう悠長なことを言っていたら、会社の存続そのものが危うくなるわけです。CEOのアームストロング氏は、AIがもたらす生産性の向上や、開発プロセスの変革がいかに重要かを痛いほど理解していたはずです。だからこそ、彼は社内の抵抗や反発を覚悟の上で、短期決戦に出たのでしょう。

二つ目は、AIの持つポテンシャルへの確信です。

CEOは、AIが単なる「便利なツール」ではなく、企業の成長を左右する「ゲームチェンジャー」であると見抜いていたのだと思います。現時点ではまだAIに任せられない部分も多いかもしれません。しかし、この1年でAIがどれだけ驚異的な進化を遂げたかを考えれば、次の1年、さらにその先でどれだけの変革が起こるかは火を見るより明らかです。

彼は、その未来を見据えていた。だからこそ、「今、この瞬間にAIを使いこなすための第一歩を踏み出せない人材は、これからのCoinbaseには必要ない」という、ある意味で非常に合理的で、しかし厳しい判断を下したのではないでしょうか。

そして三つ目は、大企業が故のジレンマです。

Coinbaseはもはやスタートアップではなく、業界を代表する大企業です。組織が大きくなればなるほど、変化に対する抵抗勢力は増え、意思決定のスピードは鈍化しがちです。いわゆる「大企業病」ですね。

アームストロング氏の強硬な手段は、この大企業病を打破し、会社全体に「我々は常に変化し、進化し続ける組織なのだ」という強烈なメッセージを叩き込むためのショック療法だったとも言えます。実際に、この一件の後、彼はAIを創造的に活用する方法を学ぶための月例会議を社内で開催するなど、さらなるAI活用の推進に力を入れているそうです。

たしかに、やり方は高圧的だったかもしれません。しかし、企業のトップに立つ人間が、会社の未来を本気で考えたとき、時にはこうした劇薬ともいえる手段が必要になることもあるのです。そして、このCoinbaseの事例が示しているのは、この変化の波はもはやエンジニアだけのものではない、ということです。

エンジニアだけの話じゃない!AI時代に淘汰される人、生き残る人

今回のニュースを聞いて、「自分はエンジニアじゃないから関係ない」と思った方がいるとしたら、それは非常に危険なサインかもしれません。なぜなら、この「AIを使わないから解雇される」という流れは、今後あらゆる職種に広がっていく可能性が極めて高いからです。

考えてみてください。

AIはもはや、プログラミングコードを書くだけのものではありません。文章を作成し、美しいデザインを生み出し、複雑なデータ分析を行い、マーケティング戦略まで立案してくれます。つまり、これまで人間が専門的なスキルとして磨いてきた多くの仕事が、AIによって代替可能になりつつあるのです。

これは、「AIに仕事が奪われる」という単純な話ではありません。より正確に言うならば、「AIを使いこなす人に、AIを使わない人の仕事が奪われる」という時代の幕開けなのです。

例えば、ライターの世界を考えてみましょう。AIを使えば、記事の構成案を数秒で作成し、リサーチにかかる時間を大幅に短縮し、誤字脱字のチェックも一瞬で完了します。AIを使いこなすライターが1日に5本の高品質な記事を書けるとしたら、AIを使わずに1本しか書けないライターの価値は相対的にどうなるでしょうか?企業がどちらのライターに仕事を依頼したいかは、明白ですよね。

これは、デザイナー、マーケター、事務職、コンサルタントなど、多くの知的労働において同じことが言えます。AIを使えるか使えないかで、生産性に圧倒的な差が生まれてしまう。その結果、AIを使おうとしない、あるいは変化に対応できない人材は、残念ながら企業にとって必要のない存在と見なされてしまうのです。

実際に、アメリカではAmazonなどの巨大テック企業をはじめ、様々な業界でAIの導入を理由とした人員削減がすでに始まっています。今回話題になったCoinbaseの件は、その中でも特に象徴的な出来事だったというわけです。

日本はアメリカに比べて雇用の流動性が低いため、すぐに同じような状況になるとは限りません。しかし、この大きな潮流に逆らうことはできないでしょう。グローバルな競争にさらされている企業ほど、生産性の低い人材を抱え続ける余裕はありません。いずれ、日本でも「AIスキル」が、英語やPCスキルと同じように、ビジネスパーソンにとって必須の能力となる時代が必ずやってきます。

問題は、その時になってから慌てて学び始めるのでは、もう手遅れかもしれない、ということです。では、僕たちは今から何をすべきなのでしょうか?

「触る」だけでは不十分。AIを「使いこなす」ために本当に必要なこと

「AIが重要だということは分かった。じゃあ、とりあえずChatGPTでも触ってみるか」

そう考えることは、もちろん素晴らしい第一歩です。しかし、僕が今回のCoinbaseの件から最も重要だと感じたのは、単にAIを「触ってみる」だけでは、これからの時代を生き抜くには全く不十分だということです。

AIが自動でコーディングしてくれる時代になったからといって、エンジニアの仕事がなくなるわけではありません。むしろ、AIが生成したコードが本当に正しいのかをレビューしたり、セキュリティに問題はないかを確認したり、システム全体としてどのように運用していくべきかを設計したりと、より高度な判断力が求められるようになっています。

つまり、AIはあくまで強力な「武器」であり、それをどう使いこなし、どのような価値を生み出すかは、最終的に使う人間にかかっているわけです。これは、他の職種でも全く同じです。

AIにブログ記事を書かせたとしても、その内容が読者の心に響くものになっているか、企業のブランドイメージと合っているかを最終的に判断し、修正を加えるのは人間の役割です。AIに市場分析をさせたとしても、そのデータからどのような戦略を導き出し、実行に移すかを決めるのは人間の仕事です。

結局のところ、これからの時代に求められるのは、AIを単なる作業効率化ツールとして使うだけでなく、自分の専門性と掛け合わせることで、これまでになかった新しい価値を創造できる人材なのだと僕は思います。

そのためには、まず自分の仕事のプロセスを分解し、「どの部分をAIに任せられるか」「どの部分に自分の強みを発揮すべきか」を徹底的に考える必要があります。そして、AIという武器を最大限に活かすための知識やスキルを、主体的に学び続けなければなりません。

CoinbaseのCEOが求めていたのも、まさにこの点だったのではないでしょうか。彼が解雇したエンジ-ニアは、単に「ツールを使わなかった」だけではありません。それは、「会社の未来を創るための新しい武器を手に取ることを拒否した」、つまり変化への適応を怠ったと判断されたのです。

僕のこのブログを読んでくださっている皆さんは、きっと新しいテクノロジーへの感度が高い方々だと思います。だからこそ、AIを「ちょっと触って終わり」にするのではなく、ぜひ自分の仕事や生活にどう活かせるか、という視点で深く向き合ってみてほしいのです。それが、5年後、10年後に大きな差を生むはずです。

まとめ

今回は、CoinbaseのCEOがAIを使わないエンジニアを解雇したというニュースをきっかけに、これからのAI時代に僕たちがどう向き合っていくべきかについて、僕なりの考えをお話しさせていただきました。

最後に、この話から僕たちが学ぶべき教訓をまとめておきましょう。

  • AIを使えるか否かが、個人の市場価値を大きく左右する時代がすでに来ている。
  • この変化はエンジニアに限らず、あらゆる職種に及ぶ。
  • 単にAIを触るだけでなく、「使いこなし、価値を創造する」レベルが求められる。
  • 変化への適応を拒む者は、組織から必要とされなくなる可能性がある。

少し厳しい話になってしまったかもしれませんが、日本にいると、なかなかこうした世界のリアルな変化に気づきにくいものです。しかし、水面下では確実に、そして急速に時代は動いています。

この大きな変化の波を、単なる「脅威」と捉えるか、それとも自分をアップデートさせる「チャンス」と捉えるか。それによって、今後のキャリアは大きく変わってくるでしょう。ぜひ、この機会にAIという新しい武器を手に取り、未来を切り拓く準備を始めてみてはいかがでしょうか。

じゃあね!